行き渋り・不登校の原因~Petuniaのカウンセリングの視点で~

目次

セラピストとして・元教師として

他の悩みと同じくして、行き渋りや不登校も、そのときは非常に辛く苦しい時間ですが、長い目で見るとその親子にとって生きる上で絶対に必要な大きなステップです。
心のどこに滞りがあって、何に気づいてどう行動してあげればその滞りがなくなってすーっと流れていくのか・・・何らかのヒントになれればいいな、と思い、今日は私が23年間の教師生活の中で出会った子ども達のことを思い返しながら、まずはその原因について発信します。
大きくざっくりとした例を挙げます。行き渋りや不登校で悩んでいるお子さまと近い物をお子さまの状況に合わせて膨らませて、いろいろ想像してあげてください。それがわかったからと言って即解決にはなりませんが、まずはありのままを見つめることから始めましょう!

行き渋りや不登校の三つの原因

行き渋りや不登校の原因と親御さんの子育ての悩みの原因は、共通しているな・・・と感じます。

  1. お子さまの個性や特性によるもの。
  2. 友だちや先生との関わり、集団の中でのお子さまの立ち位置など、社会との繋がりの中で起きてくる摩擦によるもの。
  3. 親子関係でどこかにボタンの掛け違いができていること。

これが2つ、3つ、複雑に絡みついていることも多いです。

原因1.お子さまの個性や特性によるもの

子どもには、様々な個性や特性があります。私は、「普通の子」という子どもは本当はいなくて、誰もが個性や特性をもっていると思っていて、集団生活になじみにくかったり、与えられたスケジュールをこなすことに苦痛を感じたりすることは誰にでもあると思います。この個性や特性が強いことが原因のお子さまは、行き渋りや不登校がちょっとした工夫や配慮で解決することもあります。ここでは3つ、例を挙げます。

敏感な聴覚をもつお子さま

敏感な聴覚をもつお子さまは、他の子どもの声で授業に集中しにくくなったり、大きな声の先生の授業がとても苦痛だったり、物が落ちたりする大きな音にものすごく驚いたりします。たくさんの人がいる学校では、当たり前のようにある音ですが、それは敏感な聴覚をもつお子さまにとっては、例えば遊園地のジェットコースターの横で勉強しなければならないような毎日なのかもしれません。

見通しをもつことが苦手なお子さま

見通しをもつことが苦手なお子さまは、あとどれくらいで授業が終わるな・・・とか、あとこれだけ頑張ったら課題が終わるな・・・という予測が立ちにくく、がんばり屋さんであればあるほど、ペース配分ができずに途中で疲れ切ってしまって、最後までやりきれないことが多くなります。また、あとどれくらいで休み時間が終わるな・・・とか、次は図工で教室移動があるから早く遊びを切り上げた方がいいな・・・と、気持ちの準備をすることができず、時間に遅れてしまって注意されることが多くなったりします。こういうことが重なると、自己肯定感が下がり、学校が苦痛な場所となってしまいます。

食べ物へのこだわりが強いお子さま

給食が登校への弊害になっている子どももよくお見掛けしました。どんなに他の時間に生き生きと活動し、学校が大好きな場所であっても、給食という一点の不安は本当に大きく、食は、本能と直結する部分なのだなあと感じることが多々ありました。

原因2.友だちや先生との関わり、集団の中でのお子さまの立ち位置など、社会との繋がりの中で起きてくる摩擦によるもの。

1学期の緊張

1学期は、入学や進学という大きな変化を迎え、大きな緊張の中で子ども達は登校しています。先生や友達が新しくなり、相手の気持ちやその表現方法がまだ読み取りにくく、勝手に誤解してしまったり、今一つしっくりいかないと感じてしまったり。また、仲良しグループが定まっていない時期で人間関係も不安定なため、自分の居場所がないと感じてしまう時期でもあります。

行事

行事の前後は子ども達の心に変化が起きやすいときです。例えば修学旅行の部屋割り。このときに、何となくぼんやりしていた人間関係がくっきりと目に見えることも多く、自分が大好きだった友だちが実は違う子の方に行ってしまった・・・とか、あまり知らない友だちと同じ部屋になり、それがとても不安に感じるということがあります。他には、例えば運動会。近頃はコロナの影響もあり、そこまでではないかもしれませんが、ダンスや組み体などの表現の練習が苦痛すぎたり、逆に運動が大好きな子どもが運動会が終わると燃え尽きてしまって、勉強ばかりの毎日にやる気が出なくなってしまったりすることもあります。

人間関係のトラブル

人間関係がうまくいかないときには誰だって辛いものです。アドラー心理学でも「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と言われています。たくさんの人が同じ空間にいる学校では、友だちとのケンカ、いじめ、先生への不信感など、人間関係の悩みはついて回ります。

原因3.親子関係でどこかにボタンの掛け違いができていること。

ボタンの掛け違いが起こったとき、親は自分を責めてしまうことがあります。でも、これは誰にでも起きることで、ご自身を責めることではありません。だって、親だって人間です。様々な出来事に不安になったり怒りがわいたり、頭ではわかっていても気持ちがついてこなかったり、物理的に無理なことがあったり・・・。また、親子だって紛れもなく人間関係です。誤解をしたり、言いすぎたり、期待をしすぎたり・・・ということは、むしろ親子だからこそこじれることだってあります。

お子さまが親御さんに向き合ってほしいと思っているとき

お仕事が忙しすぎたり、下の子を出産してすぐだったりして親御さんがお子さまに向き合えていないときに、「学校に行きたくない」ということがあります。親御さんの注目をひきたいこともありますし、学校に行くだけのエネルギーがなくなってしまっていることもあります。

家のことで心配なことがあるとき

ご両親が夫婦喧嘩をしたときや、親御さんがひどく悩んでいる、しんどそうにしていると感じたときに親御さんのことが心配で家から離れられなくなることがあります。また、低学年のお子さまですと、いつものように家に帰ったときに誰もいなくて、とても不安な思いをしたことなどを引きずってしまうお子さまもいます。

親御さんのどこかに「学校に行かせたくない」という本音が潜んでいる

親御さんがとても心配性だったり、過保護だったり、子離れができていなかったり、お子さんに依存していたりすると、「学校に行かせたくない」という気持ちと「学校に行かせなければならない」という気持ちの葛藤で親御さんが揺れ動き、そこにお子さまが便乗してしまうことがあります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次