脳のお話(2冊の書籍より)

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未完成だったセルフセラピー

最後にぶち当たったのは、自分のエゴです。

私は、「セルフセラピー」を自分自身で実践することで、たくさんのことが回り出したことを実感しています。「セルフセラピー」は、偉大な恩師に教えていただきました。その効果を存分に感じ、これを広めたいと思い、セラピストになるための試験にも合格し、遂に私はプロのセラピストとして動き出しました。でも、セラピストとしてクライアントさんを癒せる自分には、あと一歩、あと一歩、何かが足りない・・・と常々感じていました。これは、恩師の教え云々ではなくて、まさに私自身の問題でした。癒す側の私が、まだ完全には癒されていなかったのです。そして、はたと気がついたのが、「自分が自分のエゴに振り回されている気がする・・・。」ということでした。
そんな私のジレンマを救ってくれたのが、2冊の本でした。

2冊の本との出会い

ネド・じゅん著「左脳さん、右脳さん」

”ある日突然、思考が消えて、ストレスゼロ・こころが安定して、自由で、とにかくハッピーになったオカン”の体験談です。
ひとりの人の中には、人間社会の中で生きることに特化した「左脳さん」と、直感を担当する「右脳さん」、他にもいくつかの意識があり、それがチームとなり、力を合わせると、人生を軽やかに進んでゆけるというお話なのです。

そう。私が自分で振り回されていた自分のエゴは、まさに、この「左脳さん」の働きだったのだと、目から鱗の思いでした。
そんな、脳に興味をもったそのタイミングで偶然にも出会ったのが、次に紹介する神経解剖学者が書かれた本でした。

ジル・ボルト・テイラー著「WHOLE BRAIN」

神経解剖学者である筆者が、重度の脳出血に見舞われて左脳の機能が停止し、右脳が優勢になったときのことを、神経科学・脳科学の観点から体験談として書かれた本です。
ここにも、やはり、左脳が機能しなくなったときに、不思議と、”多幸感以外は何も感じない状態”になったとあります。そして、科学的な根拠の基、脳には4つのキャラがいること、さらに、人生のバランスをとるのにこの4つのキャラの「脳の作戦会議」はすばらしいツールなのだと解説されています。

やはりここでも、それぞれの役割をもつ脳の各細胞群を「チーム」のように扱い、その指揮を執ることが、自分の人生をよくしていくと書いてある!とても科学的に・・・。

これらの本に出合う前の「セルフセラピー」も、自分の心を安定させて自分の人生を創っていきたいという想いの中で、大切にしていたのは、「わたし経営」という考え方。まるで、クラスの子どもをまとめる「学級経営」のように、誰も無視することなく、その想いや言い分に耳を傾け、そして、ではどうしていこうか?と、共に考える。ただ、「わたし経営」の難しいところは、教師という立場で広い視野に立ち、子どもたちを見てまとめていく学級経営と違って、主体となる自分が自分をまとめなければならない、すなわち、わたし経営はかなり感情的な部分に自分をもっていかれてしまうということ。「まとめ役の自分」と「ある一面でしかない自分」が一体化してしまうということにジレンマを感じていたのです。これがエゴか!と、気づきはしたものの、どうしてよいかわからずにいた自分に、ピリオドを打ってくれた2冊となったのです。

「作戦会議」を意識することで変わること

「作戦会議」というのは、「WHOLE BRAIN」の中での「脳の作戦会議」のことで、4つのキャラがそれぞれの意見を出し合い、自分にとって最高の行動を起こすためのツールです。どのようなものかご興味ある方は、ご覧になってください。わたしの中のキャラクターをご紹介

1.心が平和な時間が多くなる

怒り、不安、罪悪感、無価値感などのネガティブな気持ちがあるときには、それに自分が乗っ取られてしまいがちなのですが、「これは自分の一部。全部じゃない。」とすくに気づけるので、心が楽になります。感じる左脳が騒がなくなるからです。考える左脳は、感じる左脳の声と連動しているので(「感じる左脳」の情報は、「考える左脳」へ転送されるのだそうです)、この2つのキャラが手を結ぶとイライラやストレスが雪だるま式に大きくなることがよくあります。これを「作戦会議」で一旦冷静にさせることにより、心が安定します。

2.周りが変わってくる

「人は自分の鏡」なんていう言葉がありますが、自分の心が平和な時間が多くなると、次第に相手の心も平和になるようです。家族にはつい言ってしまう小言や愚痴が減ることで、ケンカや言い争いになることもなく、穏やかな気持ちで毎日過ごすことができます。するとますます心に余裕ができ、家の外に出たときにも笑顔が多くなったり、人との気持ちのよいコミュニケーションが取れたりして、よい循環が生まれてきます。

3.楽しいことやわくわくすることに出会う

右脳の存在を知ることで、これまで合理性がないと見向きもしなかったものや効率が悪いと我慢してきたものに、意識が向くようになります。「なんだかわからないけど」「直感で」「ビビッときて」いいな、と思ったものに触れると、楽しくて仕方なかったり、幸せを感じたりしたことはありませんか?あれも、右脳の働きです。日常の中で、そんな自分の感覚に、少しだけ耳を傾けてあげることができてくると、今までモノクロに見えていたものが突然カラフルな光を放ちだすから不思議です!

勧められるセルフセラピーに

自分の癒しは、ひとつの区切りがついた!
そう言えるから、やっとクライアントさんにも自信をもって提供できます。やっぱり、自分が「いい!」と心底思えないものをサービスとして提供しようとすると、違和感を感じるのだな・・・と実感しました。
自分の何が足りていないのか?どうすればピタッとはまる感覚になれるのか?わからずに、手探りの状態でここまでやってきたこの道のりは、本当に長いトンネルだったな~と思います。でも、あきらめずにやってきてよかったです。

私の好きなディズニーの言葉に、「ディズニーランドは永遠に完成しない」という言葉があります。
ひとつの区切りがついたとは言え、まだまだ成長、進化し続けるつもりです。

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